INTERVIEW

PENICILLIN

取材/文:なるまゆか   公開日:2012.12.21

結成20周年を迎えた現在もヴィジュアルシーンの最前線を走り続けているPENICILLIN。彼らが20周年のアニバーサリーイヤーの今年、2枚のベス トアルバムをリリースした。4月にリリースされた第一弾は、ファンのリクエスト投票で選ばれた楽曲が収められた「20th Anniversary Fan Selection Best DRAGON HEARTS」。そして第二弾、メンバーがセレクトした楽曲が収められた「20th Anniversary Member Selection Best PHOENIX STAR」が12月5日にリリースとなった。このベストアルバムは、初期の楽曲を“20th Ver.”として新しく録り直しているのだが、そのレコーディングには脱退したベーシスト・GISHOも参加しており、5年ぶりに4人の PENICILLINが顔を揃えた。
20周年を迎えた今の思いをHAKUEI(Vo.)、千聖(Gt.)、O-JIRO(Dr.)の3人に訊いた。

INTERVIEW > PENICILLIN  (1/3)

夢を実現できる場所

―― 今年結成20周年を迎えられたわけですが、改めてこの20年はどんな20年でしたか?

千聖:20年もバンドを続けてこられたのは“運”もあるよね。やっぱり運って必要なもので、自分たちがやりたいって思っていても、好きだって言ってくれる人がいても、運がなかったら20年も続けてこられなかったと思う。色んな人たちとの出会いも運だし、大きなケガもなく病気もなくっていうのも運ってやつだと思うしね。自分たちのやる気と周りの人たちの支えとそれに伴う運の良さ。それがあったから20年の歳月を積み上げられたんじゃないかな。

HAKUEI:俺たちはバンドを長く続けることを目的にしていたことは一度もなくて。だいたい1年に1枚アルバムを作る、そういうペースでずっとやってきたんだけど、誰からもそのペースに異論は出なくて、ソロ活動とか他のユニットをやりながらもそのペースは守り続けてきたんですね。そういう環境を作れたことはやっぱりそれなりに運があったからできたことだと思うし、事務所を独立した、GISHOが脱退した、この2つがこの20年でのバンドにとっての大きな出来事だったんだけど、そのときですらもこのペースは落ちることがなくて。それぞれ大変ではあったと思うけど、ネガティブになることもなく、逆に結束力が固まったりして。逆境に強いのかな。1人で考えてると不安になったりもするけど、それぞれネガティブに思うツボが違ったりするので、3人で話してるとそこまでマイナスの考えには進まなくて。

―― 誰かが落ちていても、誰かが上がっている状態。

HAKUEI:そうそう。長く続けるコツとかよく聞かれるんですけど、一生懸命音楽を作る、バンドを愛する、もちろんそれも大事だけど、それよりもやっぱり運が必要なんだと思いますね。

―― PENICILLINは運が良かったバンドだと。O-JIROさんはいかがですか?

O-JIRO:PENICILLINは自分たちのやりたいことを自由に描いていけるもの。真っ白なキャンバスみたいな感じですね。他の仕事は制約があったりするものもあるけど、PENICILLINは本当に自由にやりたいことをできる場所なんですよね。20年培ってきた繋がりがあるから、お互いのやりたいことが伝わりやすいしね。20年経つとPENICILLINがライフワークみたいになってきて、今は自分の生活から切り離して考えることができないです。僕らの音楽を聴いてくれた人がいたからこその今だと思うんですけど、今はもっともっとPENICILLINっていうものを使っておもしろいことをやっていきたいなって思ってるんですよ。20年経った今なおPENICILLINをどうしていこうか考えるのが楽しいって、幸せなことだと思いますね。

―― ライフワークという言葉が出ましたが、千聖さん、HAKUEIさんも同じような感覚ですか?

千聖:うん。ライフワークって言葉はものすごく当てはまると思うな。PENICILLINは「元○○」みたいな感じで集まったわけではなく、まったく肩書きのない普通の学生たちが結成したバンドだから、ただ単に音楽をやりたくて始めたバンド、いわゆる俺たちの原点なんだよね。たまたまそういうメンバーだったからっていうのもあるけど、俺たちが持ってるのって、PENICILLINで稼いで豪邸建ててとか(笑)、そういうドリーム感じゃなくて、かっこいいことをやりたいっていうドリーム感なのね。だから気持ちの原点なのかな。言ってみれば夢を実現できる場所がPENICILLINなんだと思う。

HAKUEI:俺が音楽を始めたのは高校生のときなんですけど、初めてステージに立ったときにヴォーカリストっていうのがものすごくしっくりきて、「これだ!」って思ったんです。それで、将来ずっと続けていくんだって、何の疑いもなくずっとやり続けてきて。そのときの「これだ!」っていう思い、言ってみたら夢を現実にしてくれたのがPENICILLINなんですよね。だからPENICILLINは俺のミュージシャンとしての核なんです。でもまだ俺には夢があって、20年やってこれだけ曲をたくさん作っても全然満足してない。まだまだおもしろいことができる気がしてるし、もっともっと研ぎ澄まされた楽曲を作っていかなきゃいけないって思う。それって、生きていくことととても似ていて。人って、やりたいこととか好きなこととか、何かをしたいっていう欲求とか、そういう何らかの生きる原動力があるからこそ生きていけるんだと思うんですよ。バンドのなかにもそういう原動力がたくさんあるから20年もやり続けていられたんだと思いますね。

―― 欲求は何かしら刺激がないと生まれないですよね。

HAKUEI:もちろん。刺激がないと俺は絶対無理。

―― となると、PENICILLINはその刺激を維持できるバンドってことですよね。

HAKUEI:うん。おもしろいことをやれる場所だと思いますよ。もちろん今までやってきたこと全部が成功だったとは思わないし、中には失敗もあったけど、その失敗があったからこその今だと思うし。

―― 失敗しながらも積み重ね、常に新しいことを追い求めて。

HAKUEI:そうそう。どんどん精度を上げながらね。

―― 20周年の記念盤として、今年は2枚のベストアルバムがリリースされて、まず4月にファン投票で選ばれた「20th Anniversary Fan Selection Best DRAGON HEARTS」がリリースになりました。この投票結果を見ての皆さんの印象はどうでしたか?

千聖:結構、スタンダードなものが多かったですね。ライヴでよくやってる曲とか、聴き慣れた曲が多かったな。特に上位は。でも1曲だけ意外すぎる曲が入っていてビックリしたんです。

―― その曲とは?

千聖:「Never Ending Story」。俺らが選曲したら絶対入らない曲ですよ。

HAKUEI:存在を忘れてたくらいだしね(笑)。シングルのカップリングに入ってる曲で、こういうこと言っちゃいけないんだけど、頑張って作ったけど悔いが残ってる曲っていうのがあって、これもそうだったんです。だからアルバムには入れなかったし、リリース当時もライヴでやらなかったし。

O-JIRO:リクエストライブをやったときにやったくらいだよね。あのときも確かランキングは上の方だったよね。

HAKUEI:やったことない曲だから聴きたいってね。それで無理矢理やったっけ(笑)。

O-JIRO:「Never Ending Story」は俺らが選んだらたぶん話に上がらないよね(笑)。

千聖:ファンセレクションならではだね。

HAKUEI:そうそう。ヤラセなしのガチな感じ(笑)。

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