INTERVIEW

vistlip

取材/文:なるまゆか   公開日:2012.10.31

今年結成5周年を迎えたvistlip。彼らの10枚目となるニューシングル「深海魚の夢は所詮、/アーティスト」が10月31日にリリースとなった。初の両A面シングルとなった本作のタイトルはインパクト大。字面を見ただけで興味をそそられる2曲が並んでいる。自分たちの色を決めて見られたくないという彼らはリスナーの期待を常にいい意味で裏切り、新しいものを見せてくれる。

5周年を迎えた今の思い、そしてニューシングルについてVo.智とGt.海に訊いた。

INTERVIEW > vistlip  (1/4)

5人で見せる多面的新ジャンル

―― 結成5周年を迎えて今の気持ちはどうですか?

:5年もバンドを続けられたのが初めてだったんですよね。続いてよかったなっていう気持ちもあり、ただvistlip以前のバンドはそんなに真剣に取り組んでこなかったので、vistlipを組んでから初めてのことがたくさんあったんです。バンドとしてのノウハウを学ぶ場だったなって思うし、一生懸命がむしゃらにやってたら5年が過ぎてたなって感じなんです。5人とも初めてだよね、5年もバンドをやったのって。

:バンドに限らず5年も何かを続けるってなかった気がする。個人的な趣味とかは別だけど5年間同じことをするってなかなかないじゃないですか。高校も3年間だし。

:小学校くらいだよね。

:それも義務教育だから自分の意思で行ってたわけじゃないじゃん。それに学校はクラスも変わるし、5年間同じメンバーでこうやって一緒にやってきて、冷静に考えるとすごいことだなって思いますね。大変だったこともあるし、苦労もしたけど、ひたすらやってきて、ああ、もう5年か、って。こういうふうにインタビューで言われたりすると自覚しますね。普段はそんなに意識したりしないですもん。逆に「え?もう5年経ったの?」って思ったりもしますね。

―― 焦りもあったり?

:いや、焦りっていうんじゃなくて、そんなに経ったのか、早いな、くらいです。

:焦りはないよね。

:たぶんそれぞれで焦りを感じた時期はそれぞれであったと思うけど、5年っていう数字に対しての焦りっていうのはないですね。

―― 結成した頃は長く続けようっていう気持ちは強かったですか?

:というより、これを最後にしようっていう気持ちでした。

:まだバンドを組むとかそういう話をする前に智が「まだやりたいことをやれてない、やりきってない」っていう話をしてきたときがあったんですけど、それを聞いて「俺もまだ何一つやれてないな」って思ったんです。こんな状態でやめちゃったら成仏できないなって思ったからやりたいことをやりきろうって思ってvistlipを組んだんです。納得できるものを納得できる形で出せるバンドにしよう、そういう考え方をしてたから、長く続くっていうのは大前提に考えてましたね。

―― やりたかったことはたくさんあった?

:色々ありましたね。でもバンドを組むときに、武道館でライヴをやろうとか、こういう音楽をやろうとか具体的な話って全くしなかったんですよ。今もシングル作るたび、アルバム作るたび、ライヴやるたび、やりたいことって増えていくから、具体的に何がやりたいって言われると答えられないんですけどね。ただ、他のバンドと同じことはしたくない。他とは違うことをしたい。抽象的だけどそれが俺らのやりたいことかな。

:俺、ヴィジュアル系大好きなんですけど、シーンとして考えるとものすごく狭いシーンだなってずっと感じてたんです。自分たちがやるなら他のバンドのコピーはイヤだし、新しいものを作らなきゃいけないって思ってvistlipを始めたんですけど、結成当初は色んなことをやりすぎてジャンルレスになっちゃって、聴き手になかなか俺らのイメージを掴んでもらいづらくなっちゃったんです。わかってもらえないことも多くて悩んだりしてましたね。

:ウダウダ悩んでた時期があったね。

智:うん。でもそういう時期を乗り越えて、ついてきてくれるファンの子も増えて認めてくれる人も増えて。聴いてくれる人が俺らを通して新しい音楽を見つけてくれるっていうのもいいなって最近思います。

―― vistlipって言葉で説明するのがとても難しいバンドだと思うんですよ。~系とか~みたいなバンドって言えないし。

:それはすごくよく言われますね。どんな系統のバンドと対盤しても馴染むっていうおいしいポジションを狙ってます(笑)。メディアの人が一言で説明できないバンドが理想なんです。言葉で説明できるってことは既存のものと変わらないってことだと思うし、説明に困る、曖昧な言葉でしか説明できない、そういうのがいいなって。だから自分たちの作るものも、言葉では説明できないけど伝えたい、そういう気持ちを音楽にしてる気がしますね。

―― その言葉の通りになってますね。vistlipっていう新しいジャンルが出来たみたい。

:まだ出来上がってはいないですけど、それがまさに理想ですね。

:やりたいことはまだまだあるし、アイディアとか欲求ってなくならないんですよね。これ作ったから次はこれやりたい、あれやりたい、どんどん溢れてくる。出来上がることはないかもしれないな。俺、アイドルの人って羨ましいんですよ。色んな人に楽曲提供してもらえるじゃないですか。どんな曲をやってもメンバーが揃ってたらそれで成り立つってすごく羨ましいなって。俺らはもちろんアイドルじゃないし、これからも5人で曲を作っていくけど、それくらいの大きな振り幅でやれたらいいなって思うんですよね。

:俺らは手広く色んなことをやりたいっていう人間が集まっちゃってるんですよ。5人とも、「これもいいね、あれもいいね」って、やりたいと思ったことを何でも自由に取り入れてやっていくタイプなんです。例えばフルメイクでハードロックをガンガンやってたバンドがいきなりメイク落としてバラードベストなんて出したらきっと反感食らうじゃないですか。素晴らしい曲ができたとしても聴き手の期待していたものと違ったらそういう反応になっちゃうってすごく残念だなって思うんです。だから俺らは最初から「色んなことやりますよ」、「次は何やるかわからないよ」、くらいに言ってるんです。だから何をやってもマイナスになることはないんですよ。

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