LIVE REPORT

MERRY

取材/文:なるまゆか 写真:中村卓   公開日:2013.02.19

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MERRY 2013 「devour」 at SHIBUYA-AX

2月6日に最新曲「梟」をリリースしたMERRYがSHIBUYA –AXでワンマンライヴを開催した。ヴォーカル・ガラの腰椎椎間板ヘルニアの治療のため一時活動休止を発表した彼ら。このライヴが活動休止前のラストライヴだ。

客電が落ち、紗幕に映像が流れSEが鳴る。オーディエンスのヴォイヴォイという声の大きさと一体感にまず驚いた。常々感じていることだが、MERRYのファンが持つ熱は一味違う。メンバーが登場するとさらに声は大きくなり、激しい熱情が会場を包んだ。
紗幕が下り煌々とライトが照らすと、黒を基調にした楽器陣と真っ白な衣装に身を包んだガラの姿が目に飛び込んできた。白と黒のコントラストが鮮やかだ。ガラの顔に目をやると、いつもならアンコールにならないと見せないスッピンだった。まさに飾らないそのままの姿で挑んだライヴ。
演奏された1曲目は最新曲「梟」。最新曲とは思えないほどに逞しい勢いを携え、オーディエンスも負けじと拳を振り上げる。「夜光」、「絶望」と初っ端から攻め立てると、続く「【collector】」「ビニ本2丁目八千代館」で怪しげなアングラな世界を展開。お決まりになってきたブラブラと垂れ下がる白熱灯がこの日は緑と赤のフィルムで装飾が施されており、真っ赤な光がガラの顔を染めると、反対側の緑の光がオーディエンスを染めた。

「センチメンタル・ニューポップ」で結生が下手に駆け出すとそれを見たテツが上手前方に一気に攻め寄る。「stupid×cupid」では健一のギターの音を背に他の4人はドラム台に集まってお互いの顔を見合ってスタート。スモークとストロボで視覚的にも攻めながらフロアを躍らせる。MCもなく曲を畳み掛けていくのはMERRYの通常の攻撃態勢だが、メンバーの気合いが滲み出た表情とそれに応えるオーディエンスの姿がとても頼もしく、いつも以上に濃厚な絆を感じた。
「ブルージーナイト」、「ザァーザァー」で聴かせる時間を設けたあとは、さらに加速。「ハーメルン」「不均衡キネマ」と、シアトリカルな魅力を発揮すると、「ロストジェネレーション -replay-」からは爆発的なバンド力を見せつける。ガラも「もっと熱くなれんだろ!!もっと熱くなれ!かかってこい!」と叫びながら頭をガンガン振りヒートアップ。「Carnival」の頃にはMERRYの世界を浮遊するような言葉にならない気持ちよさに襲われた。
本編ラスト「群青」での、オーディエンスの「幸あれ」の合唱。それを聴いて嬉しそうな顔を見せるガラ。時折ガラが見せる“楽しすぎて我慢できなかった笑み”は見ている側の幸福感を増幅させてくれる。全員の顔と体に滴る汗がキラキラと光り輝いていたのがとても印象的だった。

アンコール。ネロが「今日からMERRYの新章が始まるから。別に終わりじゃないからな。勘違いするなよ」と言ってスタートしたのは「T.O.P」。“後ろは振り向くな 今、立ち上がり前に前に進め!!”という歌詞が、今の自分たちMERRYへの、そしてファンへのメッセージのように感じられた。「ジャパニーズモダニスト」、「消毒」と駆け抜けると、再度呼び込まれたダブルアンコールで「陽の当たらない場所」、「アイデンティティー」を披露。激走を終え、5人がステージから捌けると三度目のアンコールの声。再び登場した彼らが演奏したのは「梟」だ。23曲駆け抜けたあとに披露された「梟」は1曲目に披露されたものとは全くの別物だった。 “俺は消せない 消えやしない このままじゃまだ終われない 黙って見てればそれで良い いつか其処に辿り着くから”という決意に満ちた凄まじい熱量と、芯のブレない凛とした強さ、それでいてしなやかで、MERRYというバンドへの情愛に満ちていた。

演奏が終わり、エンディングSEで「そして、遠い夢のまた夢」が流れるなか4人が袖に捌けると、ステージに残ったガラが口を開いた。
「俺にはMERRYしかないし、歌しかないから、これからも歌い続けていきたい。俺が一番熱くなれるのはステージだし、必ずこのステージに戻ってきます。まだどれくらいかかるかわからないけど、必ず戻ってくることを約束します。そのときまで待っていてくれとは言いません。でも俺が戻ってきてまたステージで無茶する日まで、体をなまらせないように、俺らがいつライヴをしても平気なように準備しておいてください。今日はありがとう。またライヴで会いましょう!」

終演後、しばらくの活動休止に涙するファンの姿があった。しかしこの活動休止は決してネガティブなものではなくこれからのMERRYのためのポジティブな休憩時間だ。
活動休止という言葉はどうしてもネガティブに聞こえがちで、発表があったときは私自身、非常に残念に感じてしまったのも事実だが、しかしこのライヴを見終わってまず一番に思ったのは「活動休止明けが楽しみだ」ということだった。「どんなバンドになって戻ってくるのだろう」と、今はただただ楽しみにしている。ガラが治療を終え、再びステージに戻ってくるその日まで、パワーアップしたMERRYを期待しながら待ちたい。
“またライヴで会いましょう”。

MERRY 2013 「devour」 at SHIBUYA-AX
セットリスト
1.梟
2.夜光
3.絶望
4.【collector】
5.ビニ本2丁目八千代館
6.罪
7.センチメンタル・ニューポップ
8.stupid×cupid
9.オリエンタルBLサーカス
10.ブルージーナイト
11.ザァーザァー
12.クライシスモメント
13.ハーメルン
14.不均衡キネマ
15.ロストジェネレーション -replay-
16.愛国弐 ~BURST~
17.Carnival
18.群青

EN1
1.T.O.P
2.ジャパニーズモダニスト
3.消毒

EN2
1.陽の当たらない場所
2.アイデンティティー

EN3
1.梟