LIVE REPORT

MERRY

取材/文:なるまゆか 写真:中島たくみ   公開日:2013.08.20

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MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星...貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂

“またライヴで会いましょう”
ガラがそう告げた活動休止前最後のライヴから半年。MERRYがステージに帰ってきた。
彼らが復活に選んだ場所は日比谷野外大音楽堂。復活のこの日、37℃を越す気温を記録した東京。まさに灼熱という言葉に相応しい気候は、MERRYの復活を祝福しているように思えた。

定刻を少し過ぎたころ、SEが鳴り始めた。まだ太陽が残る明るいステージに楽器陣4人が登場すると歓声が起き、なかでもオールバックでキメたテツの姿にはオーディエンスからどよめきが起きた。大量のスモークがステージを包み込み、メンバーを飲み込む。真っ白な煙幕が収まると、そこにはガラの姿があった。ガラは白い衣装に身を包み、金色になった髪の毛と濃いアイメイク。机に立ちオーディエンスを見据える真っ黒な目元がとても凛々しい。

激しい爆音と共に鳴った1曲目は「梟」。ガラのセリフが胸を打つ。歌い終わったガラは両拳を突き上げ、「野音、ぶちかましてくれよー!」と力強く叫んだ。
「不均衡キネマ」のイントロが鳴ると、オーディエンスのジャンプで地面が揺れた。体を大きく横に揺らしながら叩くネロと冷静沈着に黙々と演奏するテツ。二人の対照的な姿に、静と動で構築されたリズム隊の本質が見えたような気がした。

「絶望」のイントロでステージ上手にギターの2人が揃った。体を向き合わせお互いの顔を見ながら弾く結生と健一。信頼で結ばれた2人のギターが空に向かって高らかに響いた。
5人がドラムセットに集合し、ジャムセッションの装いで始まった「ハライソ」。アイコンタクトを交わしながら演奏する姿は、5人がMERRYの音を心の底から楽しんでいるように見えた。そしてその姿を見つめるオーディエンスはMERRYの音に包まれる幸福感を存分に味わいながらとても良い表情をしていた。

続いて披露された新曲は、一筋縄ではいかない、なんともMERRYらしい1曲だった。柔らかなメロディから急激に加速するという変則的なこの曲は、聴く者の感情を掻き立てる。激しくなったかと思いきや、また一気にテンポダウンするところはまさに焦らしプレイ。もっともっとMERRYを味わいたいと強烈に思わせる不思議な魅力を持った曲だ。

「演説~シュールレアリズム~」で黒いウサギの面を被って出てきたガラ。大量の水を客席に撒き、自らもバケツを使って水をかぶりびしょ濡れに。
中盤に披露されたドラムソロでスタッフがステージに運び込んできたのはなんと和太鼓。ネロと和太鼓奏者・橋口隆之氏とのコラボレーションだ。ネロも途中、スティックからバチに持ち替え和太鼓を演奏。バチでキックを叩いてみせたり茶目っ気たっぷりにお祭りモードで魅せた。

この頃になるとあたりは暗くなり照明が映え出した。「【collector】」で赤と緑の光がステージを染め上げると、独特なアングラ臭を放ちながらMERRYの世界を展開。
大量の汗を振り乱してパワフルなドラミングを見せるネロ。強い表情でベースを奏でるテツは汗でシャツが透けて妙に色気がある。暑さを物ともせず自分の世界に入り込み黙々と弾く健一。顔から汗を滴らせながら熱情的にプレイする結生。感情を振り絞るように全身を使って歌い上げるガラ。冒頭にも記したが、この日は37度を記録した猛暑日。猛々しい熱は陽が落ちても冷めず、照明を当てられているメンバーはさらに暑かったことだろう。だが、いつも以上に吹き出す汗が妙に生々しく、MERRYの“生”を感じさせてくれたことは言うまでもない。

会場がざわついたのは、「夜光」のときだ。「もっと飛ばしていいんですよ。なんか俺、心配させてるな」と言って、ガラはスタート時から腰に装着していたコルセットを外した。ガラの行動はオーディエンスに火を付けた。着火してテンションの上がりきったオーディエンスを道連れに、本編ラストの「群青」まで息をもつかせぬ猛攻で激しく駆け抜けた。

アンコールは、アルバムリリース時のインタビューでガラが「やるときと場所は選びたい曲」と言っていた「SWAN」。青い光の中に蠢くオレンジの光がガラを照らす。儚さを纏ったガラの声がしっとりと会場を包んだ。
再度呼び込まれ、「T.O.P」、「イエローガール」を披露。「バイオレットハレンチ」では再びガラが水を撒き、メンバーにも思いっきり水をかけてびしょびしょに。

3回目のアンコール。ステージに現れたガラが口を開いた。

「やっとステージに帰ってきました。この半年、大変なことばっかりで先が見えないこともあったけど、ここで復活するんだって強い気持ちで、今、ここに立っています。当たり前のことが当たり前にできない、普通にしていたことができないっていう悔しさもあって…。そんなときすごく思ったのは、人間は一人じゃ生きられないってこと。“ガラを野音に立たせたい”、そう言ってくれたメンバー、会社に感謝してます。もちろん今日ここに来てくれたみんなにも感謝してます。みんな、今日という日を忘れないでください。俺も絶対に忘れないから。久々のライヴで楽しかったけど、実はまだ骨くっついてないんだ。すごいでしょ。それでもライヴできたよ(笑)。俺たち、これから総攻撃をかけようって思ってるから、みんな覚悟しておいてください」

ガラへの大きな拍手の中、ネロのシンバルが鳴った。ラストは「妄想rendez-vous」。
歌い終わったガラは「ホント忘れられない日になりました。ありがとう」とオーディエンスに告げ、ステージを去った。

本編終盤で演奏された「ジャパニーズモダニスト」でのオーディエンスの合唱と、その光景を優しい表情で見つめる5人を見ていて、5年前に行われた野音ライヴを思い出した。あのときと同じ。MERRYは全く変わっていない。もちろんこの5年でバンドは進化しさらに強くなった。その間には絶望するくらい、苦しいことも悲しいこともたくさんあっただろう。ただ、MERRYというバンドが持つ、不器用ながら真っ直ぐな凛とした姿勢はあの頃から何も変わっていない。MERRYがMERRYであり続けるというプライド。そのプライド、そして決意と覚悟を持って彼らはこれから“総攻撃”を仕掛けてくる。彼らの目にしっかりと映る光り輝く未来へ向かって。
野音での復活のステージはこれから見せるMERRYの猛攻の予兆にすぎない。MERRYはまだまだこれからだ。“総攻撃”に備えてしっかり準備をしておかなければ。

MERRY 「devour act 2」 拝啓、最モ臭イ遊戯 絶望ノ窓カラ闇二降ル星…貪リ食ウ夢 at 日比谷野外大音楽堂  セットリスト
SE -choral-
1. 梟
2. 不均衡キネマ
3. 絶望
4. 罪
5. ハライソ
6. 新曲
7. sweet powder
8. 真っ赤な青い春…
9. 演説~シュールレアリズム~
10. [human farm]
Dr. SOLO
11.【collector】
12. 窓 -replay-
13. 密
14. 夜光
15. ジャパニーズモダニスト
16. オリエンタルBLサーカス
17. Carnival
18. 群青

ENCORE I
1. SWAN

ENCORE II
2. T.O.P
3. イエローガール
4. バイオレットハレンチ

ENCORE III
5. 妄想rendez-vous