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Chanty

取材/文:なるまゆか   公開日:2013.09.25

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1stワンマンライヴ「終わりの始まり」
9/16@池袋EDGE

今夏始動したばかりのChantyが池袋EDGEにて1stワンマンライヴを開催した。関東地方は前日深夜から台風18号の影響で大荒れ。「これはもしや嵐を呼ぶバンドか…」と思わされたわけだが、当日午前中に台風は去り、無事に開催を迎えた。

当日の混乱した交通事情を考慮し、予定より遅れてライヴはスタート。客電が落ちSEが鳴ると、ステージのスクリーンにドット模様やカラフルなボックスをあしらった映像が流れ、何やら独特の雰囲気が会場を包む。成人、野中拓、千歳、shia.が登場。そして4人に少し遅れて芥が登場した。
成人のシンバルが空気を劈き始まったのは「ひどいかお」だ。真っ赤に染まったステージに響く妖しげなサウンド。Aメロでオーディエンスを扇動するように手拍子を見せるshia.の艶っぽい美しさがとても印象的。
野中拓の力強いベースソロにオーディエンスの手拍子が重なってスタートした「ALIVE」、そして1stシングルに収録されている「ソラヨミ」と続く。愛らしい妖精のような千歳がその風貌に似つかわしくない激しいヘドバンを見せると千歳同様、芥も頭を振る。どんなに激しくヘドバンしてもブレない歌声には感服した。
歌い終わり、芥が叫ぶ。「俺たちがChantyです!!」その声に合わせ楽器陣の表情も凛々しく引き締まった。

芥が口を開く。
「朝から台風でビックリしたけど、Chantyを支えてくれてるすべての人たちのおかげでめでたくソールドアウトすることができました。ソールドアウトできるなんて夢にも思わなかったけど、今日ここから出航してこれからどんどん色々なところでライヴをして、みんなと楽しみたいなって思ってます。今日もみんなで最後まで楽しんでいきましょう!」

差しこんだ黄色い光が印象的な「monorium」に続いた、ミディアムバラード「とある星空の下」。shia.のギターに千歳の音が重なると青白い光がミラーボールを照らし、幻想的な空間が生まれた。歌うように奏でられる千歳のギターと芥の声にギュッと心を掴まれた。
「みんなのことを想って書いた曲です」と芥が告げ演奏された「フライト」では、オーディエンスがガンガン拳を振り上げ、ガラっと空気が変わった。下手に動いた芥は千歳と楽しそうに肩を並べて笑い合い、リズム隊も穏やかな笑顔を見せていた。黙々とクールに弾き続けていたshia.も楽しさを我慢できずに笑みをこぼしていた。

「もしかしたらChantyはおとなしいバンドって思われてるかもしれないけど、ここからの3曲は激しく行きます。暴れていきましょう!」と芥が叫ぶと、攻撃的なナンバーが続いた。ドラム台やセンターのお立ち台に上がって弾き倒すshia.と千歳。野中拓もガンガン前に出てオーディエンスを煽っていく。自由に暴れる4人を支える屋台骨の成人も体を激しく上下させながらパワフルなドラミングを見せる。
「ミスアンバランス」で見せた楽器陣の「ヴォイ!ヴォイ!」という煽りや、「『C』」でのタオル回し、そして「衝動的少女」でのヘドバン&逆ダイの連続攻撃。扇情的なストロボも効果大で、より楽しさを増幅させた。

ガッツリと暴れたあとはメンバーそれぞれが口を開いた。

「7月にバンドが始動して早2ヶ月。みんなもそうだと思うけど、俺たちもこの日が楽しみで仕方なかったです。楽しい時間はあっという間だね。今日は始動ワンマンで、「終わりの始まり」のタイトルとおり今日からChantyは始まります。みんなでChantyを盛り上げていきましょう!」(成人)

「今日のワンマンをやるって決めて、最初は埋まるわけないって思ってたけどソールドアウトすることができて本当に嬉しいです。ありがとうございます。いつ終わるかわかんないけど……っていうと語弊があるけど、形のあるものはいつか壊れてしまうから、このバンドもいつかは終わりが来ると思うんです。でもその終わりまでに何が残せるか、このバンドでたくさんのもの残していきたいと思っているので、目を離さずについてきてください」(野中拓)

「人生初ワンマンでこれだけの人が集まってソールドアウトできたこと、本当に嬉しく思います。正直、初ワンマンっていう実感がなくて、みんな来てくれるのかなって不安だったりもして。でもステージに立ってみんなの顔を見たらやっと実感がわいてきました。この日を迎えるまでに色々なことがあって、今までのことが一気に蘇ってきて…。みんなにもメンバーにも感謝の言葉しかないです」(shia.)

「僕はバンドをやめようと思って一人で作曲活動をしていたときに芥くんに声を掛けてもらって、今こうしてChantyとしてステージに立てています。誘ってくれた芥くんにも感謝してるし、僕を引っ張り上げてくれたみんなにも感謝してます。今日こうやってステージに立てているのはみんなのおかげだと思います。本当にありがとうございます」(千歳)

「みんなが言ったとおり、このメンバーはバンドをやめようと思っていたり、終わりを味わった人間の集まりなんです。今日来てくれたみんなは、そんな僕らの新たな旅立ちを見届けにきてくれた人たちだって思ってます。これからも温かく見守っていてください。今日ソールドアウトできたことでこれから胸張って前に進んでいける気がしてます。今日は本当にありがとうございました」(芥)

芥はさらに続けた。
「ワンマンに向けて曲作りをしていくなかで、バンドの方向性ややりたいことを改めて考えながら曲を作っていたんだけど、そこでできた曲を見ていたら、伝えたいことはいっぱいあるんだけど、“会いたい”、“手を繋ぎたい”、単純で少し恥ずかしいけど、自分が何より言いたいのはそういうことなんだなって気付きました。みんなに会いたかったり、みんなと一緒に歌いたかったり、そういう気持ちが一番強かったみたいです」

想いを言葉にした後、演奏されたのは「奏色」。トリッキーで鮮やかなギターとサビの横揺れが印象的なこの曲は、「Chantyはどんなイメージ?」というツイッターでの芥の投げかけに答えてくれたファンのみんなの言葉をヒントにしてできた曲だそう。
そして本編ラストを飾ったのは1stシングル「終わりの始まり」だ。一切の同期音を使わずバンドサウンドのみでストレートに勝負したこの曲は、彼らのこだわりの塊。潔い姿勢は見ていて非常に気持ちよかった。

アンコールの声に呼び込まれ、メンバーが再登場。“千歳ママ”のキャラクターを炸裂させ会場を笑いで満たすと、本編で披露した「ALIVE」を再度披露。「ALIVE」は初めて5人で合わせた思い入れの強い曲ということだが、ここでまさかの展開。曲が始まったと思ったら急にブレイク。芥が歌い始めたのは「Happy Birthday」。上手には1人ポカンとしているshia.。そう、8月29日に誕生日を迎えたshia.のサプライズバースデーだ。本気のサプライズに「え?アンコールは?」ときょとんとしているshia.とその姿を見ながら嬉しそうに笑う4人がとても愛らしい。

サプライズにはまだ続きがあり、千歳が手紙を読み始めた。「shia.お誕生日おめでとう。8月29日、とっても暑い夏の日、神様から大切な宝物を授かりました」と始まった、息子への愛情溢れる手紙。じっくりと聞きながら感慨深げな表情になるshia.。しかし最後、「Chanty、千歳より」の一言で会場は爆笑。本物のママではなく千歳ママからの愛情溢れる手紙だったのだ。

特別なサプライズで暖かい空気になったなか、改めて「ALIVE」を披露。オーディエンスもありったけの声を出し、全員が笑顔になってライヴは終演した。

結成したてのバンドとは思えない色彩豊かなアプローチ。サウンドもヴォーカルも堂々としていて、初見にも関わらずライヴを盛り上げるオーディエンスも心強い存在だ。
初めてのインタビューの際に「絶対的な何かがない、不安定なおもしろさ」という表現をしたが、Chantyにはまだ絶対的な色が付いていない。それは色がないということではなく、どんな色にもなれるという幅広い可能性を秘めているということだ。彼らの纏う真っ白な衣装もそんな可能性の表れだ。今後Chantyの色は確立されていくかもしれない。ただ、今はどんな色にもなれる変幻自在な彼らのおもしろさを堪能したい。
立派な出航式を終え、旅は始まった。どんな荒波にも負けない凛とした強いバンドになっていくことを願ってやまない。

Chanty 1stワンマンライヴ「終わりの始まり」
9/16@池袋EDGE セットリスト

1.ひどいかお
2.ALIVE
3.ソラヨミ
4.monorium
5.とある星空の下
6.フライト
7.ミスアンバランス
8.『C』
9.衝動的少女
10.奏色
11.終わりの始まり

EN1.ALIVE