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バロック

取材/文:なるまゆか  写真:河井彩美   公開日:2012.11.13

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TOURバロック現象 第4現象 11月7日@NHKホール

11月7日、「TOURバロック現象 第4現象」がNHKホールで行われた。
ベーシスト・万作が突然、行方不明になるというアクシデントに見舞われたのは“第3現象 激しいライブハウスツアー”直前、6月のことだった。ベーシスト不在のままツアーは行われ、その後のライヴ活動も3人で続けていた彼らだが、この日も万作の姿はなく、下手のベースアンプの前には1本のベースが置かれていた。

定刻を過ぎ、暗転。オープニングSEが鳴り、ステージに光が差し込むと客席から手拍子が起こり、メンバーが登場すると大きな歓声に包まれた。新しい衣装を纏った3人の頭にはキラキラしたツノがついていた。その姿は非常に可愛らしく、悪戯好きな小悪魔のようなやんちゃさを演出しているようにも見えた。
メンバーが定位置につくと一瞬の静寂が訪れる。ステージに設置されたスクリーンに映像が流れ、赤いライトが輝くとスクリーンに「style」の文字が現れた。浮遊感を持ったファンタジックな空気でライヴがスタートすると、間髪入れず「暴れていこうぜ!」と「ガリロン」が力強く演奏された。圭と晃は勢いよくステージ際まで飛び出し、オーディエンスを煽っていく。続いて演奏されたのは新曲「溢れるは純情」。圭のギターが非常に耳に残る1曲だ。
「Nutty a hermit.」で「みんなで跳ねてこう!緊張してんじゃねえぞ!」と言いながらステージを動き回る怜。これからのバロックの具体的なことが何も発表されないままのライヴだった。きっと今日何か発表があるはず、そんな不安と緊張がオーディエンスから感じられたが、それはメンバーも同じだったのかもしれない。怜の言葉はオーディエンスの緊張をほぐす役割を果たしながらも、怜自身を鼓舞する役目もあったように思う。

緊張がほぐれたオーディエンスは「曖昧ドラスチックナンバー」、「しゃがれブギー」と、メンバーのプレイに笑顔と声で応えながらライヴを盛り上げていく。中盤のMCは、怜と晃が2人で進行し、先日行われたというプールでの撮影の話でオーディエンスを笑わせた。盛り上がりすぎて長くなるMCタイムに、圭が「長いよ!」とツッコミながらも「長くなってもいいよね。楽しいから」
と怜はファンとの大切な時間を思う存分に楽しんでいた。

オーディエンスの手拍子が印象的な「Cherry King」やライヴならではの勢いを見せた「メロウホロウ」で駆け抜けると、「我伐道」からさらに畳み掛けるようにバロックの色彩豊かな世界を展開。「もっと飛べ!もっともっと!」と貪欲な煽りに触発されたオーディエンスは思い思いに暴れながら笑顔を見せていた。本編ラスト「凛然アイデンティティ」ではタオルを振り回しながら飛んで叫んで、思いの丈をお互いにぶつけあう姿は愛情に溢れ、とても温かかった。

アンコール、ステージに登場し、オーディエンスとの声の掛け合いをしていた怜がふいに漏らした「楽しいな」の一言。心底楽しかったのだろう。言いながらその場で崩れるほど笑っていた。
4人で復活を遂げ、これからも4人でバロックを続けていくと決めていた彼らに訪れた突然のアクシデント。これまでの時間、これからバロックをどうするべきか悩み続けた彼らの心中は察するに余りある。自分たちも悩んだ、それ以上に自分たちを、バロックを愛し続けてくれているファンの子たちに悲しい思いをさせてしまっていることが心苦しかっただろう。客席から届いた大きな声は苦しみ抜いた怜の心を癒してくれたに違いない。怜の笑顔を見ていたらふとそんなことを思った。

「唄」、「グラフィックノイズ」、「teeny-tiny star」
と3曲を披露し、怜が口を開いた。

「みんなに俺らからちゃんと伝えなきゃいけないことがあるんだ。聞いてもらえますか?…ゆっくり話すね。毎日毎日どうやって伝えようか考えてた。バロックが一旦終わって、また4人が集まって、もう二度と終わらないって約束してるから、、、どの現象も止めずに万ちゃんを待ちながら続けてきたけど、このままじゃいけないと思うんだ。走り続けるって4人で決めたことだし、万ちゃんが俺らのこと大嫌いになっていなくなったなら納得してやるけどね。でもな、心底バロックを愛してんだよ。それだけは変わらない。毎晩毎晩、立ち止まるべきなのか悩んだりもしたよ。みんなに何て言っていいのかわからなかったりもして。3人で死ぬほど話し合ったんだ。ぶつかり合って、でもみんな同じ気持ちなんだよ、死ぬほどバロックを愛してんだ。俺らはバロックをこれからも続けようと思ってます。時間かかって本当にごめんな。万ちゃん脱退とか、これからは話に出さないとか、そういうことはしないから。俺らはバロックが大好きだから。俺らのこと信じて。街で万ちゃん見かけたらさ、<バロックに帰っておいで>って言ってやって。俺らは、進んでいくって決めたから、これからは俺ら3人の望む、超おもしろいバロックをやっていこうと思ってます」

何度も「泣かねーよ!」と言い、涙をこらえながら、自分の言葉で今の気持ちを真摯に伝える怜の姿に涙するオーディエンス。4人のバロックを守るにはどうしたらいいか、3人で悩み、話し合った結果、彼らが出した答えは不器用ながらも真っ直ぐに前を見据えたものだった。

「次に演奏する曲は、今日やったら万ちゃんが帰ってくるまで封印しようと思います。この曲が、万ちゃんが帰ってくる場所になればいいなって、そう思います」
そう告げられて始まったのは「ila」。スクリーンにはMVが流れ、バロックは4人であることを強く印象づけられた。4人のバロックを守っていくという確固たる決意がそこにはあった。

演奏が終わると、何度も「ありがとう!」と感謝の気持ちを伝え、メンバーは笑顔で袖に捌けていった。暗転した場内。エンディングSEかと思いきや、流れてきたのは未発表の新曲。そしてスクリーン上で、12月12日にニューシングル「キズナ」がリリースされることが告げられた。曲が止むと、バロックの選んだ未来を祝福する大きな拍手が鳴り響き、会場は「これからもバロックと一緒にいられる」という幸福感に包まれていた。

バロック
TOURバロック現象 第4現象 11月7日@NHKホール
セットリスト
1. style
2. ガリロン
3. 溢れるは純情 ※新曲
4. Nutty a hermit.
5. 曖昧ドラスチックナンバー
6. しゃがれブギー
7. Cherry King
8. メロウホロウ
9. 歪
10. exit
11. 湿度 ※新曲
12. モノドラマ
13. 我伐道
14. ザザ降り雨
15. tight
16. 独楽
17. 凛然アイデンティティ

EN-1. 唄
EN-2. グラフィックノイズ
EN-3. teeny-tiny star
EN-4. ila.